日本食品微生物学会雑誌
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総説
真菌の分類と検査
矢口 貴志
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2010 年 27 巻 2 号 p. 47-55

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抄録
真菌は,形態的には有性器官の形質で分類されている.そのため,有性器官の不明な菌群を分類学上,不完全なものと位置づけ,不完全菌類としている.現在では,分子系統を勘案して真菌は六つの門,ツボカビ門,接合菌門,子嚢菌門,担子菌門,グロムス菌門,微胞子虫門に分類されている.不完全菌類は,系統的に門を形成するものとは認められていない.ここでは,われわれが通常取扱う接合菌門,子嚢菌門,担子菌門に属する真菌を中心に述べる.真菌,特に糸状菌の同定は形態的観察に基づいている.形態の中でも有性胞子,無性胞子における形成様式,形態が分類・同定の決め手となることが多い.一方,酵母においては,形態的には判別が不明瞭なため,さまざまな生理生化学的な性状によって同定される.また,生活環に有性型と無性型をもつ真菌の場合,有性型の学名を優先することが定められている.近年の分子生物学的な手法の発展により,真菌の分類・同定においてもさまざまな手法が用いられるようになってきた.しかし,従来の形態学的な知見は,分子生物学的な手法においても必要とされる.現状では,形態学的な知見をベースとして,分子生物学的な知見を取り入れ,より正確な真菌の分類・同定を目指すのが理想と考える.
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© 2010 日本食品微生物学会
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