日本食品微生物学会雑誌
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27 巻 , 2 号
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総説
  • 矢口 貴志
    2010 年 27 巻 2 号 p. 47-55
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2010/12/13
    ジャーナル フリー
    真菌は,形態的には有性器官の形質で分類されている.そのため,有性器官の不明な菌群を分類学上,不完全なものと位置づけ,不完全菌類としている.現在では,分子系統を勘案して真菌は六つの門,ツボカビ門,接合菌門,子嚢菌門,担子菌門,グロムス菌門,微胞子虫門に分類されている.不完全菌類は,系統的に門を形成するものとは認められていない.ここでは,われわれが通常取扱う接合菌門,子嚢菌門,担子菌門に属する真菌を中心に述べる.真菌,特に糸状菌の同定は形態的観察に基づいている.形態の中でも有性胞子,無性胞子における形成様式,形態が分類・同定の決め手となることが多い.一方,酵母においては,形態的には判別が不明瞭なため,さまざまな生理生化学的な性状によって同定される.また,生活環に有性型と無性型をもつ真菌の場合,有性型の学名を優先することが定められている.近年の分子生物学的な手法の発展により,真菌の分類・同定においてもさまざまな手法が用いられるようになってきた.しかし,従来の形態学的な知見は,分子生物学的な手法においても必要とされる.現状では,形態学的な知見をベースとして,分子生物学的な知見を取り入れ,より正確な真菌の分類・同定を目指すのが理想と考える.
  • —食品の汚染・変敗にかかわる分類群への適用を中心に—
    後藤 慶一
    2010 年 27 巻 2 号 p. 56-62
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2010/12/13
    ジャーナル フリー
    近年,学術研究の分野にとどまらず,微生物の同定にDNA塩基配列が企業の品質管理の現場でも頻繁に用いられるようになってきた.DNAによる同定はさまざまな長所を有しており,その利用が微生物同定を特別な技術から,微生物学や分子生物学の基本的な知識を有する者ならば手軽に行えるものにしたといっても過言ではないが,その反面,長所のみが先行して,必要な知識や留意事項が忘れられがちである.特にカビにおいては,DNAを取扱ううえでの知識はいうに及ばず,分類学的な背景や,結果を正しく解釈するバイオインフォマティックスの知識などが要求される.
    そもそもDNA塩基配列を用いた同定は,細菌において,16S rRNA遺伝子および染色体DNAの類似度の間に相関があり,同種であれば16S rRNA遺伝子の塩基配列は同じで(あるいは酷似),種が異なると塩基配列も異なる(例外もある)ことが明らかにされたことにより,その有効性が示された.酵母においても同じような過程を経て,リボゾーム関連遺伝子の塩基配列が有効であることが示された.一方,カビにおいては,リボゾーム関連遺伝子と染色体DNAの類似度との関連性はあまり実証されてはいないが,同じ菌類である酵母で塩基配列を用いた同定の有効性が示されていることもあり,カビの同定にも応用されるようになってきている.
    DNA塩基配列が微生物の同定に利用され始めて約20年が経過し,その間,実際に同定する場面でいろいろな問題が生じてきている.解決されているものも少なくないが,分類学上の概念にかかわる事項など,依然としてさらなる議論・検討が必要な課題もある.このような背景を理解し,利便性の高いDNA塩基配列を有効に微生物,特にカビの同定に利用されることが望ましい.
シンポジウム2: 今,注目すべき食品媒介感染症
Short Paper
  • 細川 修平, 小高 秀正
    2010 年 27 巻 2 号 p. 80-85
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2010/12/13
    ジャーナル フリー
    生鮮魚介類の細菌学的な検査を現場で実行するために有用な検査方法を提供する目的で,コンパクトドライEC (CD-EC)を使って大腸菌群数の検査を実施したところ,以下の成績が得られた.
    1. 生鮮魚介類88例について米国FDA-BAM法である混釈平板培養法とMPN5本法を対照にしてCD-ECで大腸菌群数を検査したところ,相関係数はそれぞれ0.96および0.85であった.
    2. CD-ECの赤色集落(推定大腸菌群)142株を同定した結果,Citrobacter属8株,Enterobacter属42株,Hafnia属5株,Klebsiella属5株,Serratia属42株,その他の腸内細菌15株,腸内細菌以外の菌26株であった.
    3. 大腸菌は米国FDA-BAM法でシジミとアサリの5例で認めた.
    4. CD-ECで青いコロニー(推定大腸菌)を認めた検体はシジミとアサリの5例に加えて,ブラックタイガー,メヒカリ,アジであったが,分離した菌株はEscherichia vulnerisで偽陽性であった.
調査
  • 倉本 早苗, 児玉 洋江, 大矢 英紀, 尾西 一
    2010 年 27 巻 2 号 p. 86-89
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2010/12/13
    ジャーナル フリー
    より迅速かつ効率的なノロウイルス検査体制の構築を目的に,LAMP法ならびにNASBA-IC法について,その有用性を検討した.その結果,LAMP法は標準法 (通知法) であるRT-PCR法と比較し,感度・特異度ともに差異はなく,また迅速性・簡便性については標準法よりも優れていることから,ふん便からのノロウイルス検索に非常に有用であると考えられた.ただし,シークエンス解析に応用できないなどの課題もあり,その活用法については,各施設の実情に応じて考慮していく必要がある.
    なお,本研究の概要は第29回日本食品微生物学会総会(2008年11月,広島県)で発表した.また,本研究は平成19年度大同生命厚生事業団「地域保健福祉研究助成」として行われた.
  • 森田 幸雄, 古茂田 恵美子, 塩飽 二郎, 細見 隆夫, 板垣 基樹, 中田 恵三, 中井 博康, 渡邉 昭三, 小澤 邦寿, 山本 茂貴 ...
    2010 年 27 巻 2 号 p. 90-95
    発行日: 2010/07/31
    公開日: 2010/12/13
    ジャーナル フリー
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