日本食品微生物学会雑誌
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調査
食品からのListeria monocytogenes検出法および定量法の比較
下島 優香子井田 美樹西野 由香里福井 理恵神門 幸大黒田 寿美代仲真 晶子平井 昭彦貞升 健志
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2016 年 33 巻 3 号 p. 155-159

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抄録

2000~2015年に東京都内で採取した,RTE食品829検体および加熱せずにそのまま喫食する可能性のある食品59検体,計888検体を供試し,旧IDF法に準じる旧通知法(1993年,従来法)と現在の通知法(2014年)の基となるISO定性法による検出の比較を行った.また,陽性検体についてはISO定量法とMPN法により,定量法の比較を行った.その結果,計888検体中43検体(4.8%)からL. monocytogenesが検出された.従来法とISO定性法の両方法で検出されたのは25検体,従来法のみ,ISO定性法のみで検出されたのはそれぞれ10および8検体であった.陽性検体のうち24検体について,ISO定量法およびMPN法でL. monocytogenes菌数を比較したところ, ISO法では,290, 65, 35, 20 cfu/gが各1検体であり,20検体は5または<10 cfu/gであった.対応する検体のMPN法での値は,それぞれ>110, 110, 7.5, 9.3 MPN/gであり,そのほか20検体は<3 MPN/gであった.以上の結果から,今回の検討では従来法およびISO定性法による定性試験法,ISO定量法およびMPN法による定量法ともに,大きな違いは認められなかった.

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© 2016 日本食品微生物学会
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