日本食品微生物学会雑誌
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調査
過去30年間に東京都内で発生した黄色ブドウ球菌食中毒とその原因菌のコアグラーゼ型およびエンテロトキシン型の推移
平井 昭彦加藤 玲村内 このみ小林 真紀子鈴木 康規樋口 容子上原 さとみ赤瀬 悟小西 典子尾畑 浩魅門間 千枝貞升 健志
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2017 年 34 巻 1 号 p. 26-31

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抄録

1986年から2015年の30年間に東京都内で発生した黄色ブドウ球菌食中毒事件由来株のコアグラーゼ型とSE型の推移を検討した.200件の事件から代表株1株ずつ検討した結果,コアグラーゼ型はVII型が前期(1986~1995年),中期(1996~2005年),後期(2006~2015年)と減少傾向にあった.これに対しIV型は増加傾向にあり,後期では最も多く分離された.

SE型ではSEA単独あるいはSEA+SEB, SEA+SEC, SEA+SEDなどのSEAを産生する株が最も多く,前期,中期,後期で大きな変化は認められなかった.2002年以降遺伝子検査の結果sei単独が1株,selj単独が1株,segseiが3株検出された.コアグラーゼ型とSE型を組み合わせて比較すると,コアグラーゼVII型でSEA産生株が減少傾向に,コアグラーゼIV型でSEA産生株が増加傾向にあった.

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© 2017 日本食品微生物学会
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