1986 年 3 巻 2 号 p. 95-100
細菌の生育におよぼす嫌気環境下でのCO2ガスの影響を検討し, 次の結果を得た.
1) 通性嫌気性細菌は, (1) 生育が促進される, (2) 影響はないか極めて小さい, (3) CO2100%および脱酸素剤嫌気下では生育しないの3タイプがあることが認められた.
2) 微好気性細菌L. viridescensと有芽胞嫌気性細菌C. perfringens, C. sporogenesは, スチール・ウール法嫌気下ではCO2ガス濃度による影響はないが,脱酸素剤嫌気下のみ生育低下が認あられた.
3) 無芽胞嫌気性細菌B. fragilis, P. acnesは, 従来言われているように, CO2ガスは必須または促進作用があることが確認された.
4) 脱酸素剤嫌気で認められる顕著な生育低下は, 脱酸素剤のCO2吸収作用によりCO2が, ゼロ, または, 低濃度に保持されたたあであることが明らかになった.
5) 食品嫌気保存時のCO2添加やCO2発生型脱酸素剤の使用は細菌腐敗防止上,好ましくないと判断された.