日本食品微生物学会雑誌
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FraserブイヨンとHCLA培地を用いた食品からのListeria検出法の検討
斎藤 章暢小野 一晃安藤 佳代子青木 敦子正木 宏幸徳丸 雅一本藤 良
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1995 年 12 巻 3 号 p. 157-163

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抄録

食品からのListeria検査において, 培養法によりListeriaの存在の有無をスクリーニングする目的から, FraserブイヨンとHCLA培地の評価を行った.
1. Fraserブイヨンの24時間培養での培地色変化の必要菌量は, 101~105 (CFU/ml) で, 菌株によって差が見られたが, 菌の損傷による差は認められなかった.
2. Listeriaを接種した牛乳およびチーズを用いたFraserブイヨンの二段階増菌は, EB 48時間培養と比べてほぼ同様の増菌効果を示した.
3. 食肉等を対象としたFraserブイヨンの24時間培養での誤陽性率は16.0% (20/125), 誤陰性率は1.6% (2/125) であった.誤陰性検体は48時間後には陽性となった.
4. HCLAはOxfordと比べてListeria発育菌量に差はなかった.
5. L. monocytogenesとL.innocuaの混合菌液を塗抹したHCLAとOxfordからのL.monocytogenes釣菌率は, HCLAが100% (50/50), Oxfordが62% (31/50) であった.
6. 食肉等を対象としたHCLAの使用に, 誤陽性, 誤陰性はなく, L.monocytogenesを24時間で分離できた.
以上の成績から, FraserブイヨンとHCLAは食品中のListeria検査に有用であることが確認された.

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