日本食品微生物学会雑誌
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広島県T小学校で発生した腸管出血性大腸菌O157:H7集団事例とその細菌学的検討
小川 博美竹田 義弘佐々木 実己子宮崎 佳都夫榊 美代子島岡 真佐子山田 圭一水田 満里石川 幸安武 繁中谷 比呂樹田村 和満
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1997 年 14 巻 2 号 p. 101-110

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抄録

1996年6月, 広島県T小学校で腸管出血性大腸菌O157:H7による185名の集団食中毒が発生した. 主要症状は腹痛 (77.7%), 下痢 (48.6%), 頭痛 (7.4%) で発熱, 血性下痢はまれであった.
細菌学的検査結果では47名の患者からO157:H7が分離され, その菌量は10-108/gであった. また, RPLA法による菌分離者糞便からのVTは, 69% (46/66) から検出され, その毒素量は0-128ng/g (平均6.9ng/g) であった. 患者血清中のO157抗体価は, 4-7病日で64-2,048倍 (平均171.7) 抗体価が認められた. 分離株はVT1, VT2産生株でeaeA因子が確認された. プラスミドプロファイルは, 94kb, 80kb, 3.5kbの3個を保有し, RAPD法, PFGE法による遺伝子解析結果でも本事例株は一致した.

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