抄録
6種の異なったHobbsタイプのウエルシュ菌について,エンテロトキシン遺伝子をPCRで検出した結果,エンテロトキシン遺伝子はすべての菌株から同程度に検出された.そのうちの4菌株について,Duncan & Strong培地(DS培地)で24時間培養後の,エンテロトキシン産生量をELISAで測定したところ,産生量に大差が認められ,エンテロトキシン産生性検査の重要性が示唆された.
モノクローナル抗体を用いてフローサイトメトリー(FCM)によるエンテロトキシン産生性ウエルシュ菌の検出を試みた結果,DS培地で, 6~8時間培養後のウエルシュ菌芽胞形成菌にエンテロトキシンの産生が確認された.しかもエンテロトキシン産生性の強度は, 24時間後の培養液のELISAによるエンテロトキシン測定値の大小とほぼ平行した.
以上の結果から,FCMはエンテロトキシン産生性ウエルシュ菌の芽胞培養早期における特異迅速検出に有用な手法であることが認められた.