日本食品微生物学会雑誌
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食品の大腸菌群・Escherichia coli数測定用「ESコリマーク寒天培地」の評価
寺本 忠司岡本 一成淺本 和徳今井 一人山田 尊士柳沼 健史遠藤 明彦
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2003 年 20 巻 4 号 p. 217-224

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抄録
ESコリマー寒天培地における各菌種の発育と集落の発色能を調べた.また, 食品413検体からの大腸菌群数測定をESコリマーク寒天培地とデスオキシコーレイト寒天培地で比較した.さらに, ESコリマー寒天培地に発育した赤紫色および青~ 青紫色集落の菌種を決定した結果, 次のことが明らかとなった.
1. 大腸菌群を含むグラム陰性菌45株はすべてESコリマーク寒天培地に発育し, 明瞭な発色を示した.
2. 市販食品413検体からの大腸菌群検出は198検体 (47.9%) であり, ESコリマーク寒天培地による大腸菌群陽性数はデスオキシコーレイト寒天培地より48検体 (11.6%) 多かった.
3. ESコリマーク寒天培地のみに発育した赤紫色集落150株の菌種はP. agglomerans 43株, E. cloacae27株など12菌種であった.
4. ESコリマーク寒天培地に発育した青~青紫色集落88菌株は, E. coli 87株(98.9%)および同定不能1菌株であった.
以上のことから, ESコリマーク寒天培地は, 従来法よりもより幅広く大腸菌群を検出でき, 食品の安全性向上に貢献できる培地であると考えられた.
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