日本食品微生物学会雑誌
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フローサイトメトリーによる飲用水中の生理活性を示す大腸菌0157の迅速定量法の検討
山口 進康笹田 誠那須 正夫
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2004 年 21 巻 1 号 p. 38-43

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抄録
飲食品の衛生微生物管理においては, 有害な微生物の有無を迅速に確認すると同時に, その生死を的確に知ることが重要である.そこで, 飲用水の微生物管理を目的として, 蛍光抗体-CTC二重染色法による大腸菌O157の迅速・簡便な定量法を検討した.市販のナチュラルミネラルウォーターに大腸菌O157を添加し, FITC標識抗大腸菌O157抗体および呼吸している細胞の検出に用いられる蛍光染色剤CTCによる二重染色法により, その特異的な検出を行った.微生物計数には蛍光顕微鏡およびフローサイトメーターを用いた.呼吸している大腸菌O157は蛍光抗体由来の緑色蛍光とCTC由来の赤色蛍光を同時に発し, 他の属種の細菌や呼吸していない細菌と明確に区別することができた.フローサイトメトリーにより求めた大腸菌量は, 添加した大腸菌量と高い相関性を示した.本方法は染色から解析終了までに要する時間が2時間以内であり, 使用する蛍光抗体の種類を検出対象に応じて変えることによって, 他の細菌種の定量も可能である.したがって, 飲用水の微生物モニタリングに有用であると考えられた.
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