日本食品微生物学会雑誌
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油粕製造工場のサルモネラを対象とした Random Amplified Polymorphic DNA Methodの検討
盛田 隆行村山 靖之飯田 孝小久保 彌太郎
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2004 年 21 巻 2 号 p. 123-130

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抄録
油粕製造工場におけるサルモネラ汚染を制御する目的で, 日常の汚染調査に用いるRAPD法の検討を行った.判定の際のRAPD泳動像におけるバンドの鮮明度は, DNA抽出法, 菌液濃度およびプライマーの種類により異なり, 比較した3種類のDNA抽出法のうちNaI法は菌液濃度およびプライマーの種類に関係なく鮮明度の高いバンドを示した.われわれが改良したBoil-NaI法も供試したすべてのプライマーで鮮明度の高い安定したバンドを形成したのに対して, Boil法は菌液濃度が高いほどバンドが不鮮明であった.
疫学的にS. EnteritidisなどのRAPD法による識別によく使用される16種類のプライマーについて, 油粕製造工場および原料から分離された由来の異なる10血清型46菌株を用いて識別能力を評価した.高い識別能力を示したプライマーはAP47, OPB17およびAP46で, それぞれの識別率は67.4, 60.9, 58.7%であった.3種類を組み合わせた場合の識別率は89.1%に上昇した.
これらの結果から, Boil-NaI法と3種類のプライマーを組み合せた手法は, DNA抽出から泳動パターンの評価まで8時間以内に実施できるため, 日常の汚染源追求調査に有効な方法であることが認められた.
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