日本食品微生物学会雑誌
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ヒト, 家畜および食肉から分離されたカンピロバクターの薬剤感受性
川森 文彦久島 昇平有田 世乃増田 高志秋山 眞人重茂 克彦品川 邦汎
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2004 年 21 巻 2 号 p. 131-137

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抄録
C. jejuni352株 (胃腸炎患者由来;65株, 鶏および処理施設由来;245株, 牛由来;42株), C. coli16株 (鶏および処理施設由来;9株, 牛由来;6株, 豚由来;1株) およびC.fetus29株 (すべて牛由来株) について8種類の抗生物質に対する感受性を調べた.
3菌種の耐性株の出現率は, TCで27.6~75.0%, NAで30.1~100%, CPFXで27.6~62.5%と高率であったが, GM, IPMおよびCPに対する耐性株の出現率は0~1.1%と低かった.EM耐性株の出現率は, C.jejuniが5.4%, C. fetusが3.4%と低かったが, C.coliでは43.8%と高率であった.
NAとCPFXに対するC. jejuniの耐性株の割合は, 患者由来株 (46.2%および44.6%) が, 鶏由来株 (27.8%および26.1%) と牛由来株 (19.0%および16.7%) に比べ, 有意に高い値を示した.C. jejuniにおけるABPC耐性株の出現率は, 患者由来株と鶏由来株が20%前後であったのに対し, 牛由来株はすべて感受性を示した.
カンピロバクター腸炎の治療薬として最も重要なEMと, 近年, 耐性株の増加が問題となっているCPFXなどのFQ剤については, 今後も継続的に耐性株の出現率に注目していく必要があると思われる.
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