日本食品微生物学会雑誌
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酸性次亜塩素酸水の食品への応用と作用機構の解析
強酸性電解水との比較
浦上 弘幸野 武志島名 沙知吉崎 大介小長谷 幸史田中 信正
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2006 年 23 巻 2 号 p. 79-84

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抄録
食中毒菌に対する消毒効果を, 残留塩素濃度が約50ppmの酸性次亜塩素酸水 (酸性次亜水, 次亜塩素酸水に塩酸を添加), 強酸性電解水 (電解水, 食品添加物) について比較した.どちらの消毒剤も栄養菌体の生残を10秒で6log以上, ボツリヌス菌, 枯草菌の芽胞を10分間でそれぞれ5.0, 1.8log低下させた.もやしに付着する菌の殺菌でも, 両消毒剤は次亜塩素酸水より効果的であった.酸性次亜水, 電解水で処理した大腸菌, 緑膿菌の電子顕微鏡観察では菌体表面に多数の小胞が認められ, 細胞壁が損傷を受けていることが示された.高張処理, フローサイトメーターによる分析では, 細胞膜の損傷が認められた.これらより, 細胞壁および細胞膜の傷害が両消毒剤の作用機作であることが示唆された.行ったすべての実験で酸性次亜水, 電解水に差はなく, 機器を必要とせず安価に作製できる酸性次亜水は, 電解水と同等に使用できることが示された.
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