水産海洋研究
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Print ISSN : 0916-1562
原著論文
天皇海山海域におけるゴマサバの生物学的特性
上村 泰洋川端 淳米崎 史郎髙橋 正知由上 龍嗣渡邊 千夏子
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2017 年 81 巻 1 号 p. 18-28

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抄録

2008–2015年に中部太平洋に位置する天皇海山海域において,遠洋底曳き網漁で漁獲されたゴマサバの年齢,成長,成熟,食性を調査した.漁獲物標本の尾叉長範囲は211.1–443.5 mm FLであった.鱗による年齢査定により,年齢範囲は0–9歳と推定された.年齢と尾叉長の関係から求めたvon Bertalanffyの成長式は,FLt=432.7×(1-exp(-0.24(t+2.59)))であった.GSIの季節変化から推定された産卵期間は3–7月であった.胃内容物解析を行ったところ,オキアミ類,イカ類,有殻翼足類,サルパ科,ヒカリボヤ科,魚類の出現頻度が高かった.本海域で漁獲されたゴマサバの多くは2008年級群で構成されており,その他の年級群の顕著な加入は認められなかった.2008年に伊豆諸島の八丈島以南の海域で産卵量が多かったことが明らかとなっていることから,この海域において産卵された個体が黒潮,黒潮続流によって天皇海山海域に輸送されたと考えられた.

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© 2017 一般社団法人 水産海洋学会
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