2017 年 81 巻 1 号 p. 43-49
本研究では,宮崎県北浦漁業協同組合の中型まき網漁業を研究対象とした操業実態調査およびアンケート調査から,宮崎県水産試験場の海況情報の漁業者への経済効果を試算した.その結果,海況情報を利用することで年間約219百万円の便益額があり,その内訳は漁場推測による漁獲機会の増加に伴う水揚金額の増加額(約181百万円),操業が難しい速い流れの日に無駄な出漁をしないことによる燃油削減金額(約24百万円)及び労務時間の削減金額(約14百万円)であった.本研究の試算は,海況情報の漁業者への経済効果を評価するのに簡便で有益な方法だと考える.