2018 年 82 巻 3 号 p. 127-130
取引の結果から,漁協に水揚げされた漁獲物のサイズについての経年変化を調べた.越前町漁協が取引に用いている受託販売品売立書を使用し,2006, 2011および2016年漁解禁直後の雌ズワイガニの銘柄別漁獲尾数を調べ,水産試験場が行う銘柄別甲幅組成の測定結果と合わせて漁獲物の平均甲幅を推定した.その結果,銘柄組成は小型銘柄にシフトした一方,銘柄別の甲幅組成は大型化した.両者から推定した2011年の平均甲幅は2006年よりも小さくなったが,2016年は2011年よりも大きくなった.以上の結果から,市場における銘柄組成の小型化は漁獲物全体の甲幅組成の小型化を意味している訳ではないと結論された.今回行った解析は日常的な漁協の商行為の結果と水産試験場が毎年実施している甲幅測定の結果から実施可能であり,データ蓄積の継続性からも有用な方法であると言える.