2021 年 85 巻 3 号 p. 164-171
沖縄島北西部におけるハマフエフキの成育場保護区の効果の評価を目的に,2013–2019年に,ハマフエフキ1,277個体を保護区及びその周辺海域で標識放流し,移動生態を調査した.放流期間と移動距離が判明した再捕個体(44個体)のうち,約70%が放流後1年未満で再捕され,1年以上経過したものも,約77%が放流地点から10 km以内(中央値3.3 km)で再捕されたことから,基本的に本種は,定住性が強いと考えられた.一方,成熟個体(20個体)のうち2個体は,産卵期またはその直前に,43–46 km離れた読谷村沖の大型定置網において産卵群と推察されるハマフエフキと同時に漁獲されていたことから,成熟個体の一部は,産卵に関係した長距離移動をする可能性が示唆された.以上のことから本研究は,当該保護区について定住性の高い本種資源を保護する効果及び比較的距離のある海域へのしみ出し効果を,天然個体の標識放流により移動・成長といった生態的観点から示すことができた.