2002年6月下旬に富山湾沖で獲れた全長274mmのニジカジカに, 上顎から口腔外へ突出していた径29mm, 高さ19mm, 重さ6.5gもある顕著な腫瘍塊が発見された。組織像の観察では, この腫瘍は扁平上皮で囲まれ, 基質全体にわたって多数の歯牙様組織塊(歯胚, 未完成歯)が散在していた。これら歯胚は, 象牙芽細胞, 象牙前質, 象牙質から形成されていたが, エナメル質は見られなかった。基質内には, 相当数の骨質片(海綿骨)も存在していた。本腫瘍は複合性歯牙腫と診断されたが, 発生因については明確にできなかった。