魚病研究
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ニジマス稚魚の流行病,特にヘキサミタ症およびIPN類似症について
佐野 徳夫牛山 宗弘
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1970 年 4 巻 2 号 p. 119-124

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抄録

 各地養鱒場に発生したニジマス稚魚の流行病は,1) 外部寄生性疾病,2) ヘキサミタ寄生性症,3) 皮膚,筋肉に灰白患部を形成する疾病,および4) 不明病とに大別され,以下のように要約される。1) 鞭毛虫,繊毛虫,吸虫ならびにコンドロコッカス様細菌などの寄生による鰓病と皮膚病。2) 鞭毛虫の一種Hexamita salmonisが幽門垂,消化管系に寄生し,本虫の多数個体寄生例では,上皮の剥離をともなうはげしいカタル腸炎を呈していた。3) 主として背部に,時には腹部の皮膚に灰白患部を形成し,筋肉は硝子変性を呈していた。患部からはコンドロコッカス様細菌が認められた。4) 不明病は膵臓壊死をともなっている。450mμと100mμミリポァフィルターによる瀘液は感染性を示し,同液の加熱処理により感染力を失なった。感染死亡魚は膵臓壊死を発症しており,自然発病魚の病変膵細胞からRNA由来の封入体が認められた。これらの事実は不明病が米国におけるニジマス,カワマスのIPN(伝染性膵臓壊死症)と類似していることを示している。

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© 日本魚病学会
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