日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
脳ゲノム多様性と精神疾患
文東 美紀笠井 清登加藤 忠史岩本 和也
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 23 巻 1 号 p. 29-33

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抄録
精神疾患は遺伝要因,環境要因の双方の複雑な関与により発症すると考えられている。これまで行われてきたDNA多型を精査するゲノム研究では,発症に大きく関わるゲノム変異は同定されていない。近年,脳神経ゲノムには他の組織由来のゲノムにはない,質的,量的な体細胞変異が生じていることが明らかにされている。質的変化としてはシトシン塩基におけるメチル化や,ハイドロキシメチルシトシン化,量的な変化としてはコピー数多型,染色体異数性やレトロトランスポゾンのコピ ー数変動などが挙げられる。本稿では,近年の脳ゲノム研究について概説し,これらの変異と精神疾患の関連について考察した。
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© 2012 日本生物学的精神医学会
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