家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集:癌診療における家族性腫瘍の位置付け
日本人家族性乳がんの遺伝子診断とマネージメント
野口 眞三郎
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 8 巻 2 号 p. 40-43

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抄録
乳がんの約5 〜10%は家系内に乳がんが集積する家族性乳がんで,単一遺伝子(BRCA1,BRCA2 etc.)の変異が発症に関与している.われわれが実施した解析では,日本の家族性乳がん113 家系中,BRCA1 の変異を15家系,BRCA2 の変異を21 家系に同定した.これらの遺伝子変異の頻度は白人の家族性乳がんとほぼ同等であった.また,BRCA1, BRCA2 乳がんと散発性乳がんの特徴を比較したところ,BRCA1 乳がん,BRCA2 乳がんともに発症年齢が低く,両側性乳がんの頻度が高かった.BRCA1 乳がんでは,組織学的異型度Ⅲが高率で,かつ,エストロゲンレセプター陽性率が低率であった.このようにBRCA1 乳がんは悪性度の高い形質を有すると考えられる.一方,BRCA2 乳がんにはそのような特徴は認められなかった.
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© 2008 The Japanese Society for Familial Tumors
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