家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
8 巻, 2 号
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特集:癌診療における家族性腫瘍の位置付け
  • 田村 和朗, 冨田 尚裕
    2008 年8 巻2 号 p. 35-
    発行日: 2008年
    公開日: 2018/12/06
    ジャーナル オープンアクセス
  • 岩間 毅夫, 武田 祐子, 宇都宮 譲二
    2008 年8 巻2 号 p. 36-39
    発行日: 2008年
    公開日: 2018/12/06
    ジャーナル オープンアクセス
    遺伝性大腸癌の診療と研究は大腸癌研究の柱である.遺伝性大腸癌について、医療を提供する側と患者側から考察した.いずれから見ても遺伝性大腸癌の研究と診療の進歩には家族歴の調査、家族を含めた患者の登録が欠かせない.ヨーロッパに比較してこの登録の体制が不十分であり、今後の研究診療の発展の基盤として登録体制の整備が必須である.
  • 野口 眞三郎
    2008 年8 巻2 号 p. 40-43
    発行日: 2008年
    公開日: 2018/12/06
    ジャーナル オープンアクセス
    乳がんの約5 〜10%は家系内に乳がんが集積する家族性乳がんで,単一遺伝子(BRCA1,BRCA2 etc.)の変異が発症に関与している.われわれが実施した解析では,日本の家族性乳がん113 家系中,BRCA1 の変異を15家系,BRCA2 の変異を21 家系に同定した.これらの遺伝子変異の頻度は白人の家族性乳がんとほぼ同等であった.また,BRCA1, BRCA2 乳がんと散発性乳がんの特徴を比較したところ,BRCA1 乳がん,BRCA2 乳がんともに発症年齢が低く,両側性乳がんの頻度が高かった.BRCA1 乳がんでは,組織学的異型度Ⅲが高率で,かつ,エストロゲンレセプター陽性率が低率であった.このようにBRCA1 乳がんは悪性度の高い形質を有すると考えられる.一方,BRCA2 乳がんにはそのような特徴は認められなかった.
  • 鈴木 眞一, 福島 俊彦, 角田 ますみ, 権田 憲士, 岩舘 学, 中野 恵一, 中村 泉, 大木 進司, 小山 善久, 竹之下 誠一
    2008 年8 巻2 号 p. 44-48
    発行日: 2008年
    公開日: 2018/12/06
    ジャーナル オープンアクセス
    がん対策基本法が制定され,癌診療がさらに重要視されてきた.そのなかで癌診療における家族性腫瘍の位置付けおよび家族性腫瘍に関する遺伝的検査および遺伝カウンセリングが重要となる.公立大学法人福島県立医科大学外科では消化器,呼吸器,乳腺,内分泌等の固形癌を中心に診療しているが,家族性腫瘍もしばしば遭遇する.癌患者の場合,家族歴の聴取は極めて重要であり,この家族歴の聴取から,家族性腫瘍が想定されることがある.家系内に同一癌の複数存在や複数の癌の存在,さらに若年発症,多発,多重癌等の特徴から家族性腫瘍を想定する.また,遺伝カウンセリングも重要であり,当科の2006 年1 年間のカウンセリング件数は75 件であった.家族性腫瘍の治療には特徴があり,疾患によっては家族性腫瘍と認識,確定診断することで適切な治療方針の確立が可能となり,根治性が向上する.FAP やMEN では,すでに遺伝子検査によって治療方針を決定している.
総説
  • 伊藤 直美
    2008 年8 巻2 号 p. 49-54
    発行日: 2008年
    公開日: 2018/12/06
    ジャーナル オープンアクセス
    昨今,がんを始めとする慢性疾患の治療やケアのアウトカムとして,quality of life(QOL)といった主観的指標の重要性が指摘され,これが用いられるようになってきている.家族性腫瘍分野の研究においてもQOL の概念は重要であろうと推察する.QOL 研究は個人の主観を扱う領域である.各個人のものの捉え方というものは,時間やイベントによって変化しうるものである.そこで,QOL 研究の縦断デザイン・結果解釈において,このような変化をどのように考慮するかが非常に重要なとなる.これについて,response shift という概念を用いて説明されることがある.この概念は,QOL 研究を行う際,重要な考え方の一つと考える.この概念を手法としていかにとりいれるか,どう解釈をするか,といった点について現時点では明確な結論をみていない面もあるが,今後,さらなる議論の発展が望まれている.そこで,本稿では,そのような現状の紹介という視点にたち,定義,経緯,枠組み,測定法など,responseshift に関する基本的事項について,代表的著書・論文をまじえて整理した.特に,response shift の測定法の一つであるthen test については,詳しく説明した.代表的論文,meta-analysis も含めて先行研究を紹介した.最後に,今後の課題についても触れた.
特別寄稿
解説
関連集会報告
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