農作業研究
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諫早湾干拓土壌におけるトラクタ走行で生じる踏圧現象
宮嵜 朋浩岡安 崇史山田 寧直井上 英二
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2010 年 45 巻 1 号 p. 29-35

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抄録
諫早湾干拓における機械走行の土壌への影響を明らかにするために,現地圃場において車輪トラクタを使用した圃場走行試験を行った.走行前後の土壌の貫入抵抗値の変化を比較,踏圧特性を明らかにすることにより,走行荷重が干拓土壌の踏圧特性ならびに,耕盤形成に及ぼす影響を検討した.以下の主な結果を示す.
1)トラクタの走行による土壌の沈下は,1回の走行で20回の走行で生じる全沈下量の約85%が生じ,その後は緩やかに推移する.
2)トラクタ走行時の土壌の踏圧による土壌の硬化はおおよそ垂直方向に限定され,すでに耕盤形成されている圃場では,耕盤より深い部分での硬化はほとんど進行しないものと推測される.
3)走行による荷重は垂直方向に限定して作用し,水平方向への作用は小さいことから,諫早湾干拓圃場は,塑性的な特徴を持つ地盤であると推測される.
4)土壌貫入抵抗は,土壌水分の変化によって影響を受け,高含水条件下は,浸潤により耕盤層の強度が低下しているためそれ以深の層も含めて土壌踏圧を加速させる可能性がある.
5)走行時の土壌水分によって,貫入抵抗の分布に差がある.特に含水比68.4%では,走行位置直下の0.9MPa以上の貫入抵抗の分布域がなく,下方まで軟らかい状態であり,土壌水分が高い状態では,走行荷重による土壌の圧縮は起こりにくいと考えられる.
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© 2010 日本農作業学会
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