抄録
本研究では,カバークロップの種類および残渣処理による不耕起播種機利用時のトラクタの所要動力の差異を検討した得られた結果は以下のとおりである.
1)カバークロップの種類別にみると,ライムギ区に比べてヘアリーベッチ区や混播区で不耕起播種機利用時の所要動力が減少した.
2)カバークロップの残渣処理により,不耕起播種機利用時の所要動力に差異が認められた.草刈り機による刈り倒しに比べてフレールモアでのカバークロップ残渣の細断により,所要動力は減少した.
3)カバークロップ残渣量が多くなると,不耕起播種機利用時の所要動力が著しく大きくなった.カバークロップ残渣あたりの所要動力をみると,ライムギ区が最も大きくなったが,ヘアリーベッチ区と混播区では,残渣量あたりの所要動力は減少した.
4)カバークロップの利用条件下で不耕起播種機の作業性を確保するには,イネ科とマメ科のカバークロップを混播し,十分な乾物重を確保しかつフレールモアによる細断と組み合わせることが有効であることが認められた.