農作業研究
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45 巻, 1 号
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研究論文
  • 川西 啓文, 西川 喜裕, 都 甲洙
    2010 年45 巻1 号 p. 3-12
    発行日: 2010/03/20
    公開日: 2010/09/20
    ジャーナル フリー
    カンキツ栽培に従事する高齢者(被験者は78才の男性1名)の農作業負担の現状を事例調査・検討し以下の結論を得た.
    1)高齢者の防除作業における平均のRMRは段々畑で5.8,急傾斜畑で4.0,傾斜畑で3.6,平畑で3.3であった.しかしながら,RMRの最高値は段々畑で6.9,急傾斜畑で5.8,傾斜畑で4.4,平畑で4.1でどの畑も重労働にあった.また心拍数増加率は段々畑で67.1%,急傾斜畑で59.3%,傾斜畑で58.0%,平畑で56.0%で,(%HRR/100)では段々畑で0.61,急傾斜畑で0.532,傾斜畑で0.519,平畑で0.505であった.
    2)防除作業の段々畑における心拍数は作業開始から終了時まで上昇し続け,高齢者は段々畑における防除作業を避けるべきと考えられた.
    3)高齢者の収穫作業における作業強度はRMRの値で3.2~3.6の範囲にあり,どの畑も強労働に分類された.しかしながら心拍数増加率は35.8~47.8%の範囲にあり,心拍数増加率Bの規準で分類する場合のみ強労働になり,他では中労働に分類された.また,(%HRR/100)の値は0.265~0.319の範囲でどの畑も中労働に分類された.
    4)高齢者の積み付け作業と荷下ろし作業におけるRMRは2.4~2.6で強労働であった.しかし心拍数増加率での分類では積み付け作業は中~重労働,荷下ろし作業のそれは中~強労働に分類され,(%HRR/100)の分類では積み付け作業は強労働,荷下ろし作業は中労働に分類された.
  • 申 宝明, 佐藤 禎稔, 今村 城久, 弘中 和憲, 岸本 正
    2010 年45 巻1 号 p. 13-19
    発行日: 2010/03/20
    公開日: 2010/09/20
    ジャーナル フリー
    本報はうね自動追従システムの開発のための基本研究として畑作のトラクタ作業者の作業状態とうね合わせ作業精度を明らかにし,自動追従システムに要求される制御速度を検討し,以下のことが明らかになった.
    1)作業者の後方確認時間割合は播種・移植作業の場合10~16%であるのに対し,中耕除草作業では16~27%と高くなった.
    2)うね合わせの作業精度は,播種・移植作業の場合,隣接行程のうね間の変動は,最大7.5~11.5cmであり,その後の中耕除草作業への影響が懸念される.一方,中耕除草作業の場合では,その最大変動は8.2cmに達し,作物に機械的な損傷を与えることが観察された.
    3)うね間の周期性から求めたうね自動追従システムに要求される制御速度は,トラクタの作業速度を2m/sに想定すると,播種・移植作業では最大6.6cm/sであり,中耕除草作業の場合は,10cm/s必要であると推定された.
  • 福岡 信之, 橋本 尚
    2010 年45 巻1 号 p. 21-27
    発行日: 2010/03/20
    公開日: 2010/09/20
    ジャーナル フリー
    ダイコン‘夏つかさ’の一粒播種栽培技術の開発を目的に,種子の粒径選別,播種深度,テープ式播種機の播種深度斉一のための機構,肥効調節型肥料の種子近接施肥の効果等を検討した.
    その結果,種子の粒径別では2mm以上の種子で発芽が良かった.播種深度も種子の出芽に密接に関係し,播種深度が3cmを超えると欠株の発生が増大した.種子の両サイド2cmの位置に被覆尿素肥料を各2粒封入すると,生育後期の根の肥大成長が促進された.これら一粒播種のための技術の組み合わせにより,欠株の発生が少なく生育が良い一粒播種栽培が可能であった.
研究報文
  • 宮嵜 朋浩, 岡安 崇史, 山田 寧直, 井上 英二
    2010 年45 巻1 号 p. 29-35
    発行日: 2010/03/20
    公開日: 2010/09/20
    ジャーナル フリー
    諫早湾干拓における機械走行の土壌への影響を明らかにするために,現地圃場において車輪トラクタを使用した圃場走行試験を行った.走行前後の土壌の貫入抵抗値の変化を比較,踏圧特性を明らかにすることにより,走行荷重が干拓土壌の踏圧特性ならびに,耕盤形成に及ぼす影響を検討した.以下の主な結果を示す.
    1)トラクタの走行による土壌の沈下は,1回の走行で20回の走行で生じる全沈下量の約85%が生じ,その後は緩やかに推移する.
    2)トラクタ走行時の土壌の踏圧による土壌の硬化はおおよそ垂直方向に限定され,すでに耕盤形成されている圃場では,耕盤より深い部分での硬化はほとんど進行しないものと推測される.
    3)走行による荷重は垂直方向に限定して作用し,水平方向への作用は小さいことから,諫早湾干拓圃場は,塑性的な特徴を持つ地盤であると推測される.
    4)土壌貫入抵抗は,土壌水分の変化によって影響を受け,高含水条件下は,浸潤により耕盤層の強度が低下しているためそれ以深の層も含めて土壌踏圧を加速させる可能性がある.
    5)走行時の土壌水分によって,貫入抵抗の分布に差がある.特に含水比68.4%では,走行位置直下の0.9MPa以上の貫入抵抗の分布域がなく,下方まで軟らかい状態であり,土壌水分が高い状態では,走行荷重による土壌の圧縮は起こりにくいと考えられる.
  • 趙 艶忠, 趙 鉄軍, 小松崎 将一
    2010 年45 巻1 号 p. 37-44
    発行日: 2010/03/20
    公開日: 2010/09/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,カバークロップの種類および残渣処理による不耕起播種機利用時のトラクタの所要動力の差異を検討した得られた結果は以下のとおりである.
    1)カバークロップの種類別にみると,ライムギ区に比べてヘアリーベッチ区や混播区で不耕起播種機利用時の所要動力が減少した.
    2)カバークロップの残渣処理により,不耕起播種機利用時の所要動力に差異が認められた.草刈り機による刈り倒しに比べてフレールモアでのカバークロップ残渣の細断により,所要動力は減少した.
    3)カバークロップ残渣量が多くなると,不耕起播種機利用時の所要動力が著しく大きくなった.カバークロップ残渣あたりの所要動力をみると,ライムギ区が最も大きくなったが,ヘアリーベッチ区と混播区では,残渣量あたりの所要動力は減少した.
    4)カバークロップの利用条件下で不耕起播種機の作業性を確保するには,イネ科とマメ科のカバークロップを混播し,十分な乾物重を確保しかつフレールモアによる細断と組み合わせることが有効であることが認められた.
  • 長崎 裕司, 松崎 健文, 田中 宏明, 中元 陽一
    2010 年45 巻1 号 p. 45-49
    発行日: 2010/03/20
    公開日: 2010/09/20
    ジャーナル フリー
    水田転作として作付けされている加工用赤シソの収穫で問題となっている,収穫機刈刃を媒体とした青枯病の二次伝染を防止するには,刈刃を90℃以上に加熱すると有効であるとされている.そこで,電熱ヒータを用いた効率的な刈刃加熱手法を検討した.
    ヒータを直接刈刃に装着する方式では,リード線が高速で揺動するため断線の危険性が高く,実用面で問題があることから,刈刃押さえ板にヒータを貼り付ける方式を考案し,最終的に熱容量の大きいマイクロシースヒータを利用することで加熱開始後の温度上昇が速やかであり,90℃以上を維持しやすいことを確認した.
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