農作業研究
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急傾斜法面に対応した小型草刈ロボットの開発
菊地 麗奥野 林太郎佐藤 達也亀井 雅浩
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2020 年 55 巻 3 号 p. 155-162

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抄録

急傾斜法面における人力での刈払い作業は危険を伴い,作業者の負担が大きいことから,急傾斜法面対応の簡便な小型草刈ロボットの開発が求められている.本研究の目的は,急傾斜法面に特化した誘導式小型草刈ロボットを開発し,草刈作業の動作軌跡から作業特性を明らかにすることである.巻き取りリールを用いて機体位置を調整し人力でけん引を行う草刈機であるけん引式小型草刈機と巻き取りリールの代わりに機体の移動に用いる誘導用モータを取り付けた誘導式小型草刈ロボットを開発した.開発機と市販の法面草刈機について動作解析から得られた正味作業面積を作業時間で除した値の正味作業量を比較した.各機体の作業特性を比較すると,正味作業量は対照機5.6 m2/minが一番高く,開発機けん引式2.4 m2/min,開発機誘導式1.3 m2/minの順であった一方で正味作業面積は,開発機けん引式22 m2が一番広く,開発機誘導式16 m2,対照機11 m2の順となった.開発機けん引式および開発機誘導式は移送時の積込みおよび荷下ろし時間が短いことや,人力での移送も可能であることから,細かく移送が必要な小規模かつ法面の斜面長が長い法面での作業が適していると考えられた.開発機けん引式は,最大ワイヤ長8 mをより長くすることで,中山間地域でよく見られるような斜面長5 m以上の長大法面での草刈作業全体の作業量が高くなることが期待できる.

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© 2020 日本農作業学会
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