機械作業による土壌の圧密がサトウキビの初期生育や根群の発達に及ぼす影響について解明するため,土壌密度を4水準設けたルートボックス試験を行った.サトウキビの根群の発達や根量は,土壌密度が高いほど抑制される傾向となったのに対し,仮茎長と茎径は土壌密度と明確な関係は見られず,地下部と地上部では異なる結果となった.圧密された土壌では,灌漑水の浸入能が低いため上層部で停滞し,根域も比較的上層部に集中していることから,水分の吸収において有利に作用したと考えられる.土壌圧密がマイナス要因ばかりではないとの報告も散見されることから,温暖期での再評価試験が必要である.