2024 年 59 巻 4 号 p. 157-162
カンショ栽培の生産コストの削減を目的に,市販の半自動型野菜移植機で移植を可能とする曲げ苗(茎が180°以上折れないように曲げられた苗)の生産方法の検討および曲げ苗が塊根生産性に及ぼす影響を明らかにした.試作した3種類の曲げ苗生産器具で生産された全長300 mmの曲げ苗を使って半自動野菜移植機で繰出し試験を行った.その結果,繰出し率が88%と最も高かった苗の生産方法は,塩ビ管を中心軸として茎が折れないように苗を巻き付けて,苗の切り口側と先端側を交差させた状態で約1日固定する方法であった.他の生産器具と比べて,曲げ苗の幅が約83 mmともっとも狭かったことから,半自動型野菜移植機の苗の補給用カップから落ちやすくなり繰出し精度が高くなったと考えられた.また,採苗直後の苗では曲げる際に折れることが多いが,5時間程度日陰で放置した苗の折れ率は1%未満であった.この方法を用いた場合の生産能率は,463苗/hであった.‘すずほっくり’と‘べにはるか’の2品種を使い曲げ苗の栽培試験を行った結果,‘すずほっくり’で切り口側からも蔓が伸びる場合があり,収量と塊根数が慣行法よりも増える可能性が示されたが,‘べにはるか’では収量や塊根数に対する影響は,明らかではなかった.