抄録
高齢者の誤嚥性肺炎は, 口腔内細菌数 (総細菌数) の増加により罹患リスクが高まると考えられている。しかし, 総細菌数を簡便に測定する方法は少ない。今回, 唾液の拭い液として洗口吐出液を用いて, 吐出液中の総菌数の代用指標としてアンモニアを用いた口腔内総細菌数検査の可能性を調査した。
対象者は姫路市在住の自立高齢者で, 本調査研究への参加同意が書面で得られた146名である。対象者は口腔清潔度として吐出液中アンモニア濃度と総細菌数の検査を受けた。その結果, 吐出液中アンモニア濃度と総細菌数は, 相関係数0.577で関連性を示した(p<0.01)。
口腔細菌のアンモニア産生能を評価した結果, 23種31株中で21種26株がアンモニアを産生し, Porphyromonas gingivalisが最も高かった。日和見細菌は, 6種9株を評価し, 緑膿菌はじめ肺炎桿菌など5種7株がアンモニアを産生した。
これらの結果から, 吐出液中アンモニア濃度は, 総細菌数と関連性が認められ, また, アンモニアは口腔細菌をはじめ日和見細菌の多くが産生したことから, 高齢者における口腔内細菌数の簡易評価指標として有用であることが示唆された。