老年歯科医学
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原著
光干渉断層診断装置 (Optical coherence tomography : OCT) を用いた
レジン歯の非破壊検査
小島 規永小澤 総喜田中 貴信角 保徳
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2011 年 26 巻 1 号 p. 12-17

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抄録
超高齢社会の到来とともに, 義歯の使用者は年々増加すると考えられ, 人工臓器として長期的な機能が求められる義歯の品質管理はきわめて重要となる。しかしながら, 一般産業界で製品の品質管理のため広く普及している対象物に切断などの処置を加えず, そのまま観察する非破壊検査を義歯に適応した報告は少ない。本研究では, 高解像度を有する最先端の非侵襲医療画像撮像技術である, 光干渉断層診断装置 (Optical coherence tomography : OCT) を用いて, 義歯の重要な構成要素である人工歯 (レジン歯) の形態的特徴を非破壊的に評価することを目的とした。
国立長寿医療研究センターにて産官共同開発された歯科用OCT画像診断装置を用い, 市販されているレジン歯の唇側面, 口蓋側面, 遠心隣接面より撮影したOCT精密断層像から評価を行った。
すべてのレジン歯において, エナメル層, デンティン·ベース層の2層構造を精密に観察することが可能であった。OCTの欠点である撮影深度の問題は, レジン歯では全く問題なく, 非破壊的な評価が可能であった。
これまで非破壊的評価が不可能であった人工歯の内部構造をOCTにより精密に評価することが可能であった。ゆえに, 歯科用OCT画像診断機器はレジン歯の非破壊検査に応用できることが確認された。
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© 2011 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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