2015 年 30 巻 3 号 p. 318-325
超高齢社会の到来とともに高齢口腔癌患者の治療を行う機会も増えてきた。今回,当科における 90 歳以上の超高齢者の口腔癌患者の治療法について検討した。 2011 年 4 月〜2014 年 6 月に当科を受診した 90 歳以上の口腔癌患者は 5 例で,後ろ向きに手術および術前,術後の QOL などを評価した。 治療法は手術が 4 例,非治療が 1 例であった。手術例は,後発郭清も含めるといずれも頸部郭清を含めた手術を施行した。手術例 4 例では術前後の QOL にほとんど変化はなかった。 高齢者でも手術を第一選択とする施設が多くみられるようになってきている。本研究の 4 症例に手術を行い,患者の QOL はほぼ変化がなかった。高齢口腔癌患者の手術適応基準に苦慮するなかで最近注目されているのがフレイルの評価法であり,今後はこのような方法も治療計画に入れていくべきである。 90 歳以上の超高齢者においても個々の状況に応じて手術も含めた根治療法を行うことが推奨される。