2018 年 33 巻 3 号 p. 350-357
目的:口腔機能低下症の定義と診断基準が発表され,機能低下へのアプローチの必要性が広く認識されてきた。今回,高齢者施設利用者を対象に検査を行い,現在定められている基準での要介護高齢者における口腔機能低下症罹患率の検討を行った。また,検査が実施できた者と実施が困難であった者の比較検討を行った。
方法:高齢者施設利用者88名を対象として,患者の属性を示す基本項目の聴取と口腔機能精密検査7項目を実施した。各項目の実測値が評価基準に該当する場合を「該当」とし,検査の実施が困難であった場合を「不可」とした。現在の診断基準に従い全7項目中3項目以上該当した者を口腔機能低下症とし罹患率を算出した。また,「不可」を含む群と含まない群の日常生活自立度,栄養状態(BMI)を比較検討した。
結果:「不可」を1項目以上有する者は25名(28.4%)であった。「不可」の項目を「非該当」とした場合,口腔機能低下症の罹患率は89.8%となり,「不可」の項目を「該当」とした場合には98.9%となった。結果に「不可」を含む群は含まない群よりも要介護度の高い者,日常生活自立度が低い者の割合が有意に高かった(p<0.001)。
結論:高齢者施設を利用している要介護高齢者の多くが口腔機能低下症に該当していることが確認された。今後,対象者に合わせた検査法の選択や実施が困難であった場合の結果の処理法の検討が必要と考えられた。