2018 年 33 巻 3 号 p. 358-365
近年,日本は高齢化が加速し,急性期病院での高齢患者の受診,入院の割合も増加している。今回,嚥下機能評価目的にどのような診療科が紹介するのか,4大死因のうち心疾患・肺炎・脳血管疾患での紹介状況や食事摂取状況をみる目的で調査を行った。また老年医学会や老年学会での提言:准高齢者,高齢者,超高齢者での分類により,どのような傾向がみえるのか検討した。
年齢別紹介人数より,超高齢者の受診も確実に増加傾向であった。診療科別紹介人数では,超高齢グループが高齢による誤嚥リスク上昇のため紹介が多かったと思われる。入院から1週間以内での紹介の診療科は,脳血管疾患や肺炎に関連する診療科が多い傾向にあるが,超高齢グループでは肺炎に関連せず,皮膚科・アレルギー科,腎臓内科,消化器内科などで,超高齢による誤嚥リスクに対する慎重な対応の結果と思われる。紹介までの日数が長かったのは,担当診療科の加療に時間を要し,長期経口摂取を行っていなかったためと考えられる。また,超高齢グループで他グループより短期間での紹介が多かったのは,診療科の加療に比較的時間を要さない症例が多かったことによると考えられる。年齢区分別グループでの疾患の分布状況は,高齢になるほど多くの全身疾患を有していることを反映していた。死亡退院であっても嚥下機能評価により適切な食形態で摂取することが,最期まで口から食べることをサポートできたことにつながったと思われる。