本研究では,介護老人保健施設を対象に管理職である施設長,事務長の口腔健康管理に対する関心度と口腔衛生管理体制加算の算定状況との関連性について検証した。
1,806施設に対し,自記式質問票を郵送し,ポアソン回帰分析で,施設長または事務長が口腔健康管理に関心がある施設で口腔衛生管理体制加算を算定しているかのprevalence ratio(PR)を算出した。入所定員数,平均要介護度,敷地内の歯科の併設の有無,歯科医師・歯科衛生士の配置,口腔ケアマニュアルの有無,職員の口腔ケア研修の参加・実施,歯科検診を受ける機会,歯科訪問診療の利用を共変量として調整をした。
510施設から回答を得た(回収率28.2%)。口腔健康管理に施設長が関心「あり」の場合では67.4%,事務長が関心「あり」の場合では67.7%の施設で口腔衛生管理体制加算の算定をしていた。ポアソン回帰分析の結果,施設長が関心「あり」の場合ではPR=1.32(95%CI:1.07~1.63),事務長が関心「あり」の場合ではPR=1.29(95%CI:1.08~1.53)であり,施設長または事務長が口腔健康管理に関心がある施設で加算算定率が有意に高かった。
口腔衛生管理体制加算の算定には,口腔健康管理への関心がある施設長,事務長がいる,敷地内に歯科の併設がある,歯科衛生士の配置がある,歯科検診を受ける機会を有していることが有意に関連しており,施設長,事務長の口腔健康管理への関心が特に重要であることが示唆された。
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