2023 年 37 巻 4 号 p. 298-304
目的:回復期脳卒中患者の摂食嚥下障害の重症度と口腔環境との関連性を検討することを目的とした。
方法:対象は,2016年3月1日~2020年1月31日までの期間に回復期リハビリテーション病棟に入院した脳卒中患者299名とした。調査項目は,年齢,性別,脳卒中の病型,摂食嚥下能力のレベル(Food Intake LEVEL Scale:FILS),Functional Independence Measure(FIM),Body Mass Index(BMI),血清アルブミン値(血清Alb値),Oral Health Assessment Tool(OHAT)とした。入院時のFILSにより摂食嚥下障害の重症群(FILS<7)と軽症群の2群に分けて比較した。
結果:摂食嚥下障害の重症群は,軽症群に対して入院時のOHAT合計スコアは有意に高値であり(p<0.05),FIM,血清Alb値は有意に低値であった(p<0.05)。OHATによる口腔環境の評価では,重症群は軽症群に対して口唇,舌,歯肉・粘膜,唾液,口腔清掃の各スコアが有意に高値であった(p<0.05)。多重ロジスティック回帰分析の結果,入院時の摂食嚥下障害の重症度に関連する因子は,OHAT,FIMおよび血清Alb値であり,OHATのオッズ比は5.170(95%信頼区間2.239~11.941),FIMのオッズ比は9.806(95%信頼区間:4.164~23.095)であった。また,入院時のOHAT下位項目のうち摂食嚥下障害の重症度に関連する因子は,口唇と舌であり,口唇のオッズ比は7.846(95%信頼区間:3.771~16.325),舌のオッズ比は5.751(95%信頼区間:2.850~11.605)であった。
結論:本研究の結果から,回復期脳卒中患者の摂食嚥下障害の重症度に関連する因子として,入院時のFIMと口腔環境が関連していることが示唆された。