老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
認定医審査症例レポート
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーによる嚥下障害に対し,訪問診療での 多職種連携により口腔機能が改善した症例
稲本 香織奥村 拓真山崎 裕
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 39 巻 supplement 号 p. 111-116

詳細
抄録

 緒言:筋ジストロフィーの摂食嚥下リハビリテーションでは,過用性筋力低下を引き起こしやすく,訓練指導には配慮が必要である。今回,顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)の発症を契機に嚥下障害を発症した高齢者に対し,外来診療で嚥下機能評価と訓練指導を行い経口摂取量の増加や口腔機能を改善できた1例を経験したので報告する。

 症例:79歳,男性。ものが飲み込めず,むせ込みが気になるという主訴で当科を受診した。初診時のBMIは18.3であった。栄養摂取方法は,胃瘻からの経腸栄養剤と経口からの少量の食品での直接訓練食であった。

 経過:口腔機能低下症を伴った嚥下障害と診断し経口摂取支援を行う方針とした。当科初診1か月後にFSHDと診断された。本症例は予後良好なタイプの筋ジストロフィーであったが,進行性の疾患であることも踏まえ嚥下機能および口腔機能の維持を目標とした。外来診療で嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査を行い,直接訓練の方法の調整や間接訓練の選定を行い,PT・STの訪問リハビリテーションと自主訓練を継続させた。19か月経過した現在も誤嚥性肺炎は認めず,良好に経過している。

 考察:本症例ではFSHDの患者に対して,歯科医師が外来で嚥下機能評価を行い,過用性筋力低下に配慮しつつ,診療情報を提供することで多職種と連携したことや家族の訓練への協力が得られたことで患者の訓練意欲が継続し,経口摂取量の増加や口腔機能の改善につながったと考えられた。

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top