2025 年 40 巻 1 号 p. 54-64
軽微な口腔機能低下を有する人の咀嚼行動を明らかにするために,ウェアラブルデバイスbitescan®(以下,BSと表記)を用いて,地域在住高齢者の口腔機能と咀嚼行動の関連を調査した。対象者は板橋健康長寿縦断研究に参加し,スマートフォン等でやりとりができるなどの組入基準を満たした者とした。口腔機能測定結果から,口腔機能低下症の下位症状該当数0項目を健常群,1~2項目を低下予備群と定義した。目的変数をBSで測定した同一試験食品摂取時の咀嚼行動(咀嚼回数,咀嚼速度,1口の咀嚼回数[平均・最大],取り込み回数,咀嚼時間),説明変数を口腔機能,共変量を性,年齢などの基本情報とし,重回帰分析を行った。解析対象者は,35名(女性12名,平均年齢74.2±3.2歳,低下予備群30名)であった。軽微な口腔機能低下の有無は咀嚼回数(回,非標準化偏回帰係数[B]=-79.32,95%信頼区間[CI]=-134.65,-23.99),咀嚼速度(回/分,B=-0.01,95%CI=-0.16,-0.04),1口の平均咀嚼回数(回,B=-0.41,95%CI=-0.77,-0.06),1口の最大咀嚼回数(回,B=-0.38,95%CI=-0.67,-0.10)が有意な関連を示した。本研究から,低下予備群は咀嚼速度が遅く,咀嚼回数が少ないことが明らかとなった。