老年歯科医学
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臨床報告
舌接触補助機能付き軟口蓋挙上装置により摂食機能の改善を促進できたと考えられる高齢中咽頭がん患者の1症例
山口 恵梨香黒木 唯文田邉 雄一鵜飼 孝
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2025 年 40 巻 1 号 p. 65-71

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抄録

 一般的に軟口蓋挙上装置(以下PLPとする)は鼻咽腔閉鎖不全の改善を目的に装着され,構音機能の回復も期待することができる。今回,鼻咽腔閉鎖不全と舌圧低下による摂食嚥下障害を呈した中咽頭がん患者に対し,嚥下機能の改善を期待して,舌接触補助機能を付与したPLPを製作し,良好な結果が得られたので報告する。

 患者は,右上咽頭右側壁から右頭蓋底部に及ぶ広範囲の腫瘍に対して化学放射線療法が開始された70歳女性で,著明な鼻咽腔閉鎖不全と誤嚥を認めたため,PLP製作依頼のため当センターに紹介となった。PLP製作を開始したが,舌圧検査を実施したところ著明な機能低下を認めたために舌接触補助床を兼ねる形態に変更した。装着翌日に施行したビデオ嚥下造影検査(以下VFとする)では姿勢調整が必要であったが,鼻腔への逆流は認めなかった。退院後は訪問診療において,歯科医師と言語聴覚士による摂食嚥下リハビリテーションを継続した。その後のVFでは,90°座位でも鼻咽腔閉鎖不全や誤嚥を認めることなく嚥下可能であった。飲水は終日可能となったが,誤嚥の危険性があるので,朝夕は胃瘻での栄養管理を行い,昼のみ軟菜軟飯を摂取している。軟口蓋挙上不全に加え,舌筋力の低下を認めた患者に対し,舌接触補助機能を付与したPLP装置を装着してリハビリテーションを実施したことで,摂食嚥下機能の改善につながったと考えられる。

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