老年歯科医学
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認定医審査症例レポート
鼻咽腔閉鎖不全患者に対して軟口蓋挙上装置を用いて摂食嚥下機能の改善を図った1症例
大保 直道, 藤井 航
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2026 年 41 巻 supplement 号 p. 36-40

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抄録

 緒言:軟口蓋挙上不全による鼻咽腔閉鎖不全に対して,軟口蓋挙上装置(Palatal Lift Prosthesis :PLP)は有効な治療方法とされている。軟口蓋挙上不全による鼻咽腔の閉鎖が不十分な患者に対して多職種と連携しPLPを製作し,機能改善を認めた症例を経験したのでその概要を報告する。

 症例:患者は67歳,女性。現病歴に多系統萎縮症があり,食事時に鼻にものが入ってくるとの訴えにより診療開始となった。

 経過:軟口蓋挙上不全による鼻咽腔閉鎖不全が疑われたため,間接訓練としてブローイング訓練を行ったが,改善は認められなかった。その後,内科担当医よりPLPの製作依頼があった。可及的に違和感を減少させるため,通常のPLPより違和感が少ないとされているモバイル型 PLPを選択し製作した。装着当初は違和感の訴えを認めたが,徐々に食事時の違和感も減少し,食事量も増加した。使用開始4週間後に,挙上子のワイヤーが破折したため再製作を行った。再製作の際はワイヤーを太くし破折しにくい設計とした。モバイル型PLP装着前後では,発声時の息漏れを認めなくなり,ブローイング時間およびRSSTも増加した。内科担当医による嚥下造影検査において,鼻咽腔への逆流を認めなくなったとの評価であった。体重は1か月で2.1 kg増加した。

 考察:モバイル型PLPの製作により,鼻咽腔閉鎖不全が改善し,患者の食べる楽しみを取り戻すことに寄与することができたと考えられる。

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