老年歯科医学
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訪問歯科診療が在宅要介護者のQOLに及ぼす影響
第2報咀嚼・介護・口腔衛生と歯数について
増田 靜佳内海 俊明増田 敬二
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2000 年 14 巻 3 号 p. 345-357

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抄録
訪問歯科診療が在宅要介護者のQOLに及ぼす影響について, 特に咀嚼・介護・口腔衛生の3点について調査し, また歯数との関係についても検討を加えた。対象は, 平成8年~10年にかけて訪問診療を行った患者268名中50名で, 方法は, 咀嚼・介護・口腔衛生の3点に関する質問について, 歯科医師による直接の聞き取り調査を行った。なお, 歯数は診療記録より調査した。その結果, 以下の結論を得た。
1. 咀嚼では, 訪問歯科診療が患者食生活の質の面上に面く貢献していることが再確認された。
2. 介護では, 訪問歯科診療による咀嚼能力の向上が, 介護者の献立や調理法の工夫といった手問の軽減や, 介護者が食事時間自体に捕われていたことからの開放に繋がり, その結果介護者の仕事量の軽減になると考えられた。
3. 口腔衛生では, 口臭の減少や歯肉の出血・腫れ・痛みにも改善がみられた。しかしながら, 歯磨き回数は一日1回が多く, 初診時と人きな変化はなかった。したがって, 日腔衛生指導によるブラッシング方法の面上が効果を上げていると思われた。
4. 各質問事項について歯数別に比較した。咀嚼機能の回復および介護者の仕事吊の軽減には, 機能歯数1~5本が最も改謝頃面が面かった。口腔衛生においては, 現在歯数が多くなるほど指導・管理が難しくなる傾面がみられたことから, 多数の歯牙を保有している患者には, より一層の注意が必要と思われた。
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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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