老年歯科医学
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心房細動患者の頻脈発作に塩酸ピルジカイニドが奏効した一症例
近藤 永之深山 治久海野 雅浩
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2003 年 18 巻 1 号 p. 24-27,64

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抄録
心房細動を合併する患者の全身麻酔導入時に, 著しい頻脈を認め, 塩酸プロカインアミドを投与したが奏効せず, 塩酸ピルジカイニドが極めて有効であった症例を経験した。患者は65歳の男性で右舌腫瘍の診断のもと舌部分切除術を予定した。術前より心房細動があり, ジキタリス内服により心拍数が70回/分前後にコントロールされていた。麻酔導入開始時は, 心拍数が100回/分であったが経鼻気管挿管のために鼻腔に綿棒を挿入したところ, 突然, 心拍数が160回/分に増加した。直ちに塩酸プロカインアミド80mgを静脈内に投与し, さらに60mgを追加した。高濃度セボフルランにて換気しながら, 心拍数が140回/分になった所で経鼻挿管を行った。しかし塩酸プロカインアミドも高濃度セボフルランでも挿管後に, 160回/分の頻脈が持続した。そこで, 塩酸ピルジカイニド50mgを10分間かけて持続点滴したところ奏効し, 心拍数100回/分前後まで改善した。以後, 頻脈をきたさず無事手術を終了した。術後も麻酔導入時のような心電図異常を認めず順調に回復した。このように塩酸ピルジカイニドは, 緊急治療を要する頻脈性不整脈に対して高い有効性を示すことが確認できた。
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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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