老年歯科医学
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介護老人保健施設入所者の食事内容と口腔・全身状況との関連性に関する検討
小松崎 明江面 晃末高 武彦黒川 裕臣遠藤 敏哉長谷川 優
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2007 年 22 巻 3 号 p. 319-325

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抄録
介護老人保健施設の入所者24名を対象として, 食事形態など食事内容, ADLなど全身的状況, 要介護状況を質問項目とした質問紙調査 (記入は担当看護師に依頼) を実施し, 口腔, 義歯の状況については口腔診査を行い, 分割表分析により食事形態 (普通食群, 特別食群に群別) と全身・口腔状況との関連性を検討した。
その結果, 口腔状況のうち義歯装着 (p<0.01), 機能歯数 (p<0.05) は, 食事内容により有意差が認められ, 義歯を装着し機能歯数の増加を図ることが食事内容の改善に影響すると考えられた。また, ADL要介助項目数 (p<0.01), 要介護度 (p<0.01), BDR要介助項目数 (p<0.01) で食事内容により有意差が認められ, 全身機能, 要介護状態と食事内容との関連が認められた。
これら結果から, 歯科医師は食事内容や日常生活機能なども把握した上で歯科治療にあたる必要があり, 積極的に口腔機能の維持・向上を図ることで, 要介護者の食事内容が改善されQOL向上に寄与できる可能性が示唆された。今後は, 義歯未装着者への対策を中心に, 要介護者の口腔保健の向上について検討する余地がある。
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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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