老年歯科医学
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東京都葛飾区における在宅寝たきり老人の歯科医療について
歯科診療開始に至るまで
飯塚 務小松 孝至白橋 知幸根岸 哲夫
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1991 年 6 巻 1 号 p. 78-85

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抄録
近年, 寝たきり老人に対する保健・医療ニーズが高まり, 葛飾区歯科医師会においても, 昭和61年から在宅寝たきり老人歯科診療問題に取り組み始めた。しかし, 寝たきり老人の実態については, ほとんど報告されていないのが現状であったため, まず, その実状を調査把握することが, 直接器械器具を持ち込んで治療にあたることより先決であると考えた。
葛飾区の場合, 昭和61年の寝たきり老人の数は1694人であり, そのうち, 在宅寝たきり老人は773人いて, この人たちを対象に歯科医師会会員による実態調査をおこなうことにした。対象者のうち, 実際に調査に応じたのは130人であった。この調査に携わった歯科医師会会員は91名であった。その結果, 何からの後遺症などがあるものの, 4割の人たちは, 自力あるいは物にっかまれば歩けることがわかった。歯科処置内容は補綴処置が多くの場合必要とされた。歯科診療は, 本来設備の整った診療ユニットのうえで行なわれるべきである。実態調査結果をもとに, 葛飾区側と協議の結果, 在宅寝たきり老人専用の歯科診療所の建設が決定し, 移送可能な寝たきり老人は, 固定診療所で, 移送に適さない老人は, 訪問により診療するとする, 2本立てのいわゆる葛飾方式で実施することになった。訪問診療は, 平成2年2月から, 固定診療所における診療は, 同年8月から開始された。本報告では, 診療実施に至る経緯を示した。
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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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