老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
高齢者における電動歯ブラシの応用とその評価
今井 光枝眞木 吉信杉原 直樹高江洲 義矩
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 8 巻 2 号 p. 137-142

詳細
抄録

電動歯ブラシは近年急速に普及しているが, 使用者の年齢層は多様である。今回は電動歯ブラシを高齢者が使用した場合の使用感, 歯口清掃効果ならびに歯周組織への影響を調査し, 口腔内のセルフ・ケア用具として適しているかどうかを検討した。被検者は現在歯を15歯以上有する64~81歳の男性2名, 女性4名で, 使用電動歯ブラシは回転式電動歯ブラシを採用し, 手用歯ブラシに代わるものとして1ヵ月間使用後の評価を行なった。
1. 歯口清掃では6名中4名に電動歯ブラシによる歯垢除去効果が認められた。とくに隣接面と前歯部において効果的であった。
2. 歯周組織に関してはプロービング時の出血部位数が減少し, 歯周ポケットの改善がみられ, 歯齪に対する損傷は全く認められなかった。
3. アンケートで電動歯ブラシの音や振動, または植毛部の大きさや本体の重さは手用歯ブラシに比べても問題はなく, 使用感は「よい」であった。しかし, 電動歯ブラシの価格や替えブラシの交換時の入手方法にっいて問題が挙げられた。
今回の調査で, 電動歯ブラシは高齢者にも歯口清掃効果が期待できることが示されたが, 高齢者が歯口清掃方法を改善し口腔内の健康を保持していくためには, 歯科医師・歯科衛生士による適切な指導が望まれる。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top