老年歯科医学
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在宅患者におけるCPITNの検討
予防プログラムの可能性について
深井 浩一江面 晃黒川 裕臣高岡 慈郎加藤 まり町田 裕哉吉岡 弘行榎本 友彦岡村 敏弘畑 好昭
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1994 年 8 巻 2 号 p. 148-156

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抄録

平成3, 4年度に日本歯科大学新潟歯学部在宅診療往診ケアチームの診療を受けた患者83名中, 20名を対象に全身状態, 口腔内診査, CPITN診査および口腔衛生環境に関する聞き取り調査を行った。
対象者の平均年齢は65.5歳で基礎疾患は脳血管障害が多かった。またADLでの評価は4以上が半数を占めた。残存歯数の平均は約20歯, DMF歯率は65.2%であり, プラークの付着程度は中等度のものが多かった。CPITNの結果では歯周疾患有病者率は95%であったが, その主体は浅いポケットと歯石沈着であり, 口腔衛生指導と予防処置で対応することが可能と思われた。また複雑な歯周処置を必要とする者は20%のみであった。
聞き取り調査の結果ではブラッシングを毎日行うものが90%であったが, 30%の患者はブラッシングに全面的な介護を必要とした。
各調査とCPITNの関係では, プラーク付着状態とCPITNの所見コードとの間に正の相関が認められ両者の関係が確認された。また家族・介護者によるプラークコントロールにも十分効果のあることがCPITNとの関係から示唆された。
以上より, 在宅患者のなかには比較的軽度の歯周疾患罹患者の集団があり, 主訴の改善後にも口腔衛生指導や予防処置を主体とした予防プログラムを立案することにより, その効果が期待できる可能性のあることが分かった。またこの時の歯科衛生士の協力と家族の理解, 介護の重要性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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