2008 年 46 巻 3 号 p. 404-414
わが国では便潜血反応を用いた大腸がん検診スクリーニングが広く実施されている。便潜血反応のカットオフ値を調節することで要精検率(陽性率)が変動する。必要以上の要精検率の上昇は陽性反応適中度の低下をきたし, 精検受診率の低下を招く。高知県ではカットオフ値を300ng/mlに設定することにより要精検率が4%以下である。これは全国比較にてかなり低い位置にある。検診成績から検討してみると, 要精検率を含めた検診事業評価の指標となる受診率, 精検受診率, 陽性反応適中度, がん発見率はいずれもきわめて良好な成績であった。スクリーニングで検体を集中管理させ, 便潜血高値者を高危険群として強力な精検勧奨をすること, そして精検での高受診率, 高全大腸内視鏡施行率をめざすことにより, 現行のシステムによって要精検者の絞り込みが可能であり, 地域住民検診としては適正な要精検率であると考えられる。