日本消化器がん検診学会雑誌
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経験
上部消化管癌術後症例に対する極細径スコープの使用経験─経過観察から治療手技への応用まで─
伊藤 高広中西 攝子吉川 公彦平井 都始子藤井 久男
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2008 年 46 巻 4 号 p. 482-489

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抄録

上部消化管癌手術後症例における極細径スコープを用いた内視鏡診療の経験について述べた。当院では経鼻挿入を中心に同スコープを日常診療に使用している。2002年から2006年までの4年間の全検査数1,031件のうち369件(35.3%)が担癌患者であり, 特に食道癌は136件(13.2%), 胃癌は137件(13.3%)を占めていた。食道癌・胃癌の術後患者は129件(12.5%)であり, うち1例に残胃早期癌を発見し得た。上部消化管癌手術後症例は厳重な経過観察が必要であり, その検査法においては通常のがん検診と同様, あるいはそれ以上の高い受容性が求められる。極細径スコープの使用は経鼻挿入が可能で受容性に優れることから, 術後患者における経過観察や重度狭窄例に対する遠位側の検索に適した検査法であり, 種々の内視鏡治療への応用も可能である。今後は検診施設のみならず, 精査施設における普及が期待される。

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© 2008 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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