2008 年 46 巻 5 号 p. 581-586
胃癌検診を契機に発見されたCowden病の2例を報告する。症例1は58歳の男性。顔面に多発する丘疹が見られ, 食道全域に密生する多発小隆起を認めた。症例2は53歳の男性。口腔内に乳頭腫様の小隆起が見られ, 食道には症例1と同様に密生する多発小隆起を認めた。PTEN遺伝子の検索をしたところ, 2例とも変異ありと判定され, Cowden病の診断が得られた。Cowden病には乳腺や甲状腺に悪性腫瘍を合併することも知られている。稀な疾患であるが, 特徴的な食道ポリーポーシスを認めた場合はCowden病を疑い, PTEN遺伝子や全身のmalignancy検索を勧めることが必要である。