日本消化器がん検診学会雑誌
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症例報告
人間ドックを契機に発見された, 食道・胃・大腸の同時性3重複早期癌の1例
宮崎 慎一野田 裕之福庭 暢彦阿南 隆洋森田 照美秋吉 正史
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2009 年 47 巻 4 号 p. 463-469

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抄録

人間ドックを契機に発見された食道・胃・大腸の同時性3重複早期癌を根治的に治療し得た症例を経験したので報告する。症例は64歳の男性。人間ドックで行った上部消化管造影検査にて異常を指摘され上部消化管内視鏡検査を施行したところ, 食道癌および胃癌が発見された。また術前検査として行った下部消化管内視鏡検査にて大腸癌が発見された。食道癌に対しては内視鏡的粘膜下層剥離術, 胃癌に対しては胃全摘術, 大腸癌に対してはS状結腸切除術を施行した。各腫瘍とも深達度mないしはsmの早期癌であり, 同時性3重複早期癌と診断した。食道・胃・大腸の同時性3重複早期癌は, 1983年から2008年までに本邦では自験例を含め9例の報告のみであった。癌発見時には常に重複癌を念頭においた術前検査が必要であり, 根治性を考慮すると, 消化管領域においては特に食道癌の早期発見が重要であると思われた。

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© 2009 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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