日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
Print ISSN : 1880-7666
ISSN-L : 1880-7666
原著
個別検診導入による地域胃がん検診の成果─車(間接X線)検診, 直接X線検診, 内視鏡検診の比較─
登田 尚敬関口 利和中野 正美高澤 信成田 忠雄小島 章
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 49 巻 2 号 p. 218-227

詳細
抄録

市の事業として車検診による集団胃がん検診を実施してきたが, 昭和61年をピークに徐々に受診者が減少してきた。その対策として太田市医師会は個別検診の導入を提案し, 平成11年から委託された。
個別検診では直接X線検診か内視鏡検診のいずれかを選択でき, ペプシノゲン法も参考資料として測定した。よって対象者は車検診の間接X線検診も含め3方法を選択できる。個別検診導入前の平成10年受診者数は6,409人であった。導入後, 個別検診は年々増加し, 開始から9年経た平成19年には胃検診10,955人のうち個別検診者は83%を占め, うち内視鏡受診者は88%を占めるようになった。カバー率は17.3%となった。車検診及び個別検診ともに女性の受診者が60%を超え, 年令は男女とも個別検診の方が約10歳高齢であった。胃がん発見率は車検診で0.23%, 個別検診の直接X線検診で0.20%, 内視鏡検診で0.61%であった。
発見胃癌151例中, ペプシノゲン陽性を示したものは75.5%であった。3検診方法の発見癌1例あたりの費用は, 内視鏡検診が最も安価で240万円であり, 次いで車検診で345万円, 直接X線検診は571万円であった。個別検診は今後とも受診者数の増加が予想されるが, その有効性評価に直結した質の高い研究の実施が望まれ, また検診の受け皿としての医療機関や人材の確保が急務と考える。

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
前の記事 次の記事
feedback
Top